ウィハン四重奏団を応援しています [弦楽四重奏団]
弦楽四重奏専門のページを始めて、CDの紹介ばかりしているのも何ですから、今日は自分が応援している四重奏団の紹介をさせていただきまひょ。
ウィハン四重奏団、と言っても日本国内では知名度がまだまだ低いですね。Googleで検索しても彼らの実力からしたら思ったほどヒットしない。
どんな団体なのかっていうことからお話すると、今年3月にも川崎でコンサートを開くなど、毎年のように来日している団体で、95年には雑誌『音楽現代』の特集「マイベストコンサート」ベストワンに輝いている他、91年ロンドン国際室内楽コンクールでは全会一致で第一位に輝いています。故ユーディ・メニューインに激賞されたほどの実力集団です。
しかしながら、大手のレーベルと契約しているわけでもなく、CDなどは日本ではほとんど入ってこないのが現状(発売元はLOTOS)。私はロンドンにいるファンの方に郵便為替を送ってまでして、彼らのベートーヴェンの全集を入手しました。
クラシック音楽業界自体が不況だと思いますが、弦楽四重奏のような大衆受けしないような分野はそういった不況の波をもろに受けているように思います。おそらく、CDなど記録に残していない団体でも凄いのがいるだろうし、録音はしても「売れないから」という理由でオクラ入りしているものもたくさんあるのが現状です。フランチスカス四重奏団なんてご存知でしょうか。フランチスカス四重奏団のハイドン(神品との話)が聴きたくても廃盤状態ですし、もう再発売はされないでしょうね・・・(涙)。
とにかく、ウィハン四重奏団も実演を聴いたこともなかったのですが、何か予感がしたのです。動物的な勘です。 「これは聴かねば」という予感が。
メンバーを調べると、全員チェコはプラハ音楽院出身。さらに、弦楽四重奏の評論で著名な音楽ジャーナリスト渡辺和氏からも私信でこの団体について「スメタナQを愛する方にはまるで抵抗がないだろう」と伺っていた。
実際聴いてみると、演奏は素晴らしいものでした。いずれも、スメタナ四重奏団をより現代的にした感じで、解釈もチェコの伝統的な解釈を踏まえた懐かしさがあります。流行に見向きもせず、自分達の音楽、自分達の感じたベートーヴェンを奏でている点を高く評価したいところです。中期から後期にわたる諸曲はすべて水準以上の演奏で、ほとばしるような情熱を感じました。「自分(演奏者自身)の心に一番近いところで鳴る音楽」をやっているな、という印象です。演奏スタイル云々以前に、それこそ王道な気がします。自分が愛するものを演奏してほしいですね。
彼らは日本に来ると、どうしてもお国ものがメインになってしまいます。できれば、音響の良いホールでベートーヴェンのチクルスをやってもらいたいものです。そして一層の深化を録音にも刻みこんでもらいたいものです。
実は彼らのベートーヴェンには録音の不備があります。13番と大フーガが収められたCDのみ、電気的雑音が入ることなのです。「おい、不良品だぞ!」とメールしたのですが、すぐに対応してくれたLOTOS。送ってくれた良品も雑音混入。第一ヴァイオリンのチェピツキーにも連絡しましたが、「マネージャーに任せている」とのこと。むーん。
これは勿体無い話で、ぜひ日本のレーベルでも取り扱っていただき、雑音を除去してもらいたいものです。演奏が素晴らしいからそう思うのです。
ウィハンQが久しぶりに共演者なしで演奏します。
http://salvia-hall.jp/?p=8822
by 平井 (2013-04-07 10:24)